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健康クリニック 村木クリニック院長 医学博士 村木 宏要 先生

急増する『前立腺がん』-PSA検査を是非受けて下さい-


『前立腺がん』は、初期にはほとんど症状がありません。そのため、当院で1年前より半年間にPSA(前立腺特異抗原)検査を50名に行なったところ10人が陽性と判断され、抗がん治療を開始しました。(うち2人が『進行がん』でさらに強力な治療を続けています。)もし、PSA検査を行っていなかったらと思うと身が震えます。

☆死亡数増加率はすべての『がん』の中でトップ
 日本人の『前立腺がん』による死亡者数は2015年には2000年の2倍以上、1995年の約3倍になると推定されています。死亡数増加率は、すべての『がん』の中で、最も高く、今後最も増え方の激しい『がん』だと言えます。

☆『前立腺がん』が急増している背景には、主に次の3点があげられます。
1.日本人の寿命が延びた。
 現在は日本人男性の平均寿命は80歳近くなっています。『前立腺がん』は進行が比較的遅く、俗に「高齢者のがん」といわれるように、年齢を重ねるごとに発見率が上昇するため、寿命が延びると『前立腺がん』の患者さんが増えてきます。
2.食生活の欧米化
 食生活の欧米化が『前立腺がん』の増加に深く関わっている、と言われています。特に、動物性脂肪をたくさん摂ること、緑黄色野菜の摂り方が少ないこと、などが『前立腺がん』の危険因子としてあげられています。
3.PSA(前立腺特異抗原)検査の開発・普及
 近年、「PSA検査」が登場し、かなり早期から『前立腺がん』を発見することができるようになりました。これは血液検査だけでできるため、50歳前後の比較的若い方も気軽に検査が受けられ、『がん』が発見され易くなってきました。

☆PSA(前立腺特異抗原)検査で早期発見を!
 『前立腺がん』は男性特有の『がん』で、50才以上の方に多く発症します。初期には症状がほとんどなく、見つけにくいのですが「PSA検査」によって早期発見が可能になっています。


 表@の通りPSA4.0ng/ml以上が陽性として検診を受けた場合の『前立腺がん』発見率は、 50〜54歳で0.09%、55〜59歳で0.22%、60〜64歳で0.42%、65〜69歳で0.83%、70〜74歳で1.25%、75〜79歳で1.75%と報告されています。
 しかし、PSA値があまり上昇しない『前立腺がん』も15〜20%あるため注意が必要です。
 一方、『前立腺がん』は、遺伝の要素が強い『がん』のひとつと考えられているため、『前立腺がん』と診断された親族がいる場合、早め(40歳〜)にPSA検査を受けることをおすすめします。

☆その他の検査
@直腸診では『前立腺がん』は硬いしこりとして前立腺内に触れます。
A経直腸超音波診断では前立腺の変形、低エコー領域として認められます。
B最近は『前立腺がん』の早期発見の目的で、MRI検査、PETCT検査も行われています。
Cこれらの検査により『前立腺がん』が疑われたら、麻酔下に経直腸超音波検査で位置を確認しながら、前立腺の10ヵ所以上を針生検によって組織を採取し、『がん』の組織診断を行います。
D『前立腺がん』の周囲への進み具合は、経直腸超音波検査、骨盤部のMRIによって調べます。
E全身のリンパ節転移は全身CT検査、PETCT検査で、全身の骨転移については骨シンチグラフィが有用です。

☆『前立腺がん』の進展と症状
 『前立腺がん』は、初期にはほとんど症状がありません。『がん』が大きくなって尿道が圧迫されると、尿が出にくい、尿の回数が多い、排尿後に尿が残った感じがする、夜間の尿の回数が多いなど、前立腺肥大症と同じ症状が現れます。『がん』が尿道または膀胱に広がると、排尿の時の痛み、尿もれや肉眼でわかる血尿が認められ、さらに大きくなると尿が出なくなります(尿閉)。精嚢腺(せいのうせん)に広がると、精液が赤くなることがあります。さらに『がん』が進行すると、リンパ節や骨(脊椎(せきつい)や骨盤骨)に転移します。リンパ節に転移すると下肢のむくみ、骨に転移すると痛みや下半身麻痺(まひ)を起こすことがあります。
 『前立腺がん』は、初期症状がないため発見しづらい『がん』です。早期発見のために、40歳以上の方はPSA検査を受けられることをおすすめします。