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法律相談 弁護士 原田 弘 先生

出向と身元保証人の責任 出向後も指揮監督をうけているときは…


Q.質問

私は、知人のAさんが甲社に入社するさい、身元保証人になりました。その後、Aさんは出向により関連会社である乙社勤務となり、勤務中乙社の資産を横領し損害を与えました。
 乙社は私に身元保証人として、その賠償を請求してきました。私は乙社に対して責任があるのでしょうか。

 

A.回答

身元保証契約は、原則として被用者である身元本人自身が負担する損害賠償義務について、民法上の保証人としてこれを履行することを約する契約です。
 ところで、Aさんは出向先の乙社に損害を掛けたということですが、身元保証契約で、出向先で損害を掛けた場合も保証の範囲とする旨の特約がある場合を除いて、関連企業といっても、甲社の指揮監督権が乙社に出向したAさんに及ばないような場合は、貴方は賠償請求を拒むことが出来ると考えます。
 ただ、出向先の乙社が甲社の営業所的なものに過ぎないとか、Aさんが出向先でも、直接甲社の指揮監督を受けているような場合は、損害賠償義務が有ると考えてください。この点よく引き合いに出される裁判例があるので紹介します。「:訴外会社(乙社にあたる)は原告(甲社)の営業所の実質しか有しない上、同社に出向したとはいっても、原告と被用者との間には、指揮命令関係が存し、被用者は原告代表者の指揮監督の下に訴外会社の経理事務を担当し、業務を遂行するに際して、本件横領行為をなしたのであって、原告の業務遂行中に不法行為をなした場合と何ら変わるところはないから、被告は本件行為の結果原告が被った損害につき身元保証人としての責任を免れない。…」浦和地方裁判所昭和58年4月26日判決。

 このように、甲社と関連会社である乙社の関係が非常に緊密な場合、貴方は、乙社に対する責任を免れないものと考えられます。Aさんが甲社から他社に出向すること自体、貴方は身元保証契約の解約事由とすることは出来ませんから、身元保証契約を締結すること自体慎重な配慮が必要です。