阪神グリーンクラブ・ニュース 159

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法律相談 弁護士 原田 弘 先生

法人名義を表札に記載 無断転貸として解除できますか


Q.質問

私は自営業のAさんにマンションの一室を賃貸しています。Aさんには住居として貸したのに、その後、郵便受けや表札にAさんと並んでB会社の名前が記載されています。このような事を止めさせることは出来るでしょうか。

 

A.回答

Aさんに居住用としてマンションを貸したところ、Aさんと共にB会社名義の表札が出されたということですが、B会社については転貸にあたるとみることが出来ます。貸主の貴方の承諾を得ないでこれを行えば、無断転貸ということになります。B会社の看板を出すということは、個人会社であっても、Aさん個人と会社は別人格ですから形式的には転貸となります。
それでは、無断転貸で直ちに契約解除出来るかといえば、そうでもありません。B会社の看板を出しても、税金対策とか経理上の都合による、いわゆる「法人成り」であって、従前とほとんど変わらない利用形態のような場合、裁判例では、無断転貸とはいっても、従前の使用形態と大きな変更がないような場合は、信頼関係が破壊されたとはいえず、契約の解除を認めない傾向にあります。
貴方の場合、AさんがB会社に転貸して賃料を得ているとか、B会社に訪れる人が非常に多くなったり、電話等の騒音が急に激しくなった等の事情があれば賃貸借契約の解除が出来ると考えます。
この場合、B会社に転貸している状況を解消するよう求めて、それが改まらないような場合、契約解除ということになります。

 転貸の外に、本件では用法違反の問題があります。貴方は、契約で居住を目的として賃貸していますが、Aさんはこの制約に違反してはなりません。
居住目的以外に、B会社の事務所として使用しているが、その実態が軽微であり、居住目的から逸脱していないような場合ですと、ここでも信頼関係が破壊されていないとして契約解除を認めないのが判例の傾向です。
居住目的から逸脱しているような場合は、期間を定めてこれをやめるよう催告して、それでも改まらないようでしたら契約を解除するということになります。用法違反とまでいえないような場合、契約解除は出来ないとしても、用法違反に触れることは確かですから、効果は別として、内容証明郵便等でB会社の表札、看板等を出さないよう請求することは出来ます。