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健康クリニック 村木クリニック院長 医学博士 村木 宏要 先生

乳幼児をインフルエンザ菌b型(Hib)細菌性髄膜炎からまもるために!


インフルエンザ菌ってご存知でしょうか。毎年猛威をふるうインフルエンザウイルスと名前が似ていますが、全く別のものです。ウイルスではありません。
(インフルエンザウイルスは、冬季に流行性感冒を起こすウイルスです。)


 インフルエンザ菌とは、ヘモフィルス・インフルエンザ桿菌と呼ばれる細菌です。インフルエンザ桿菌自体はポピュラーな病原菌で、a〜fまであり、インフルエンザ菌b型は時に致死的な細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)を引き起こします。


☆インフルエンザ菌b型(Hib)による髄膜炎の危険性
 新生児では母親からの移行抗体に守られているため発症は少ないですが、3〜4ヶ月過ぎると抗体が消えて髄膜炎の罹患率が高くなります。乳児期からの集団保育では特に注意が必要です。一方、5歳を過ぎると自然免疫で発症しなくなります。  本邦では年間500人〜600人の子どもがHibによる細菌性髄膜炎に罹っています。Hibによる細菌性髄膜炎は予後が悪く、罹患児の5%が死亡し、25%に聴覚障害やてんかんなどの後遺症が生じます。さらに最近は、Hibの薬剤耐性化が急速に進み、Hib感染症がさらに難治化する傾向にあります。


☆髄膜炎予防に高い有用性をもつアクトヒブ(インフルエンザ菌b型ワクチン)
 Hib感染による乳幼児の細菌性髄膜炎は、初期診断や治療が難しいため古くからワクチンの必要性が議論され、1980年代後半には欧米を中心にこのワクチンが導入されました。現在、アメリカはもちろん、アジア・アフリカを含む世界各国で導入され、WHOの推奨により120カ国以上で公費負担による接種が行われています。アメリカでは、ワクチン導入前は5歳未満人口10万人あたり年間25人といわれたインフルエンザ菌b型(Hib)髄膜炎発症数が、ワクチン導入後はほぼ0になりました。
 一方、日本でも待ち望まれたHibワクチンは平成20年12月19日にやっと発売されました。


☆何時から開始すべきか、悩む接種スケジュール
 インフルエンザ菌b型ワクチン(Hibワクチン)は3種類混合ワクチン(DTP)と同じスケジュールで同時接種します。HibワクチンとDTPを別々に接種すると接種回数が多くなるとの理由から接種率が下がってしまいます。それを防ぐため外国では数種類のワクチンを同時接種しています。今回導入されるHibワクチンは、諸外国と同様に、同時接種することが認められた画期的なワクチンです。なお、アクトヒブは保険が使えず、自費負担となります。(ちなみに調べた範囲では1回7000円ぐらいです。)  接種スケジュールは初回の接種を始めた年齢により異なります。


@2ヶ月〜7ヶ月未満で開始・・・
 初回3回+1年後に1回、合計4回
A7ヶ月〜1歳未満で開始・・・
 初回2回+1年後に1回、合計3回
B1歳以上で開始・・・・・・・1回のみ


となっています。つまり、初回の接種の時期を遅らせると、接種すべき回数が減り、費用も安くなります。
 接種を遅らせると、最悪の場合、髄膜炎の危険性が高くなるデメリットと引き換えになるのですが、費用のことを考えると、「早くしないと」までの認識が薄くなる傾向があります。また「子供のために接種しよう」と思っても、初回年齢でこれだけ接種回数が変われば、「安くなる1歳以降に」という考えが出ても不思議ではありません。「1歳以降でも大丈夫ですよね?」という質問が出てきそうです。特に6ヶ月以降で接種を希望された方への説明で苦慮しそうな気がしています。