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健康クリニック 村木クリニック院長 医学博士 村木 宏要 先生

ご存知ですか、変わった名前の病気があります


新年おめでとうございます。お正月の団欒で面白い話題がないかと探しているうちに、変った名前の病名を見つけました。そのうちの二つをご紹介します。


1.ナゾの病気「氷食症」という
 病気をご存知ですか?
重症の「氷食症」だと、ドリンクバーで氷だけをバリバリ食べたり、さらに進行したケースでは、氷を毎日8kgも食べ続けた人もいるようです。「氷食症」の詳しい原因は解明されていませんが、鉄欠乏症になるとこのような症状が出ます。他にも、精神的な症状として起こることもあります。


 鉄欠乏症と氷にどのような関係があるのでしょうか?
鉄分は体中に酸素を運ぶ役目がありますが、脳の働きを助けるという役目ももっています。ですから、鉄分が不足すると、集中できなかったり、記憶力が落ちたりする症状が起こります。その症状の一つとして、脳の何らかの働きに異常が起こり、普段絶対に食べないものや、食べ物ではないものを食べたくなってしまうのではないか?という説があります。また単純に、鉄欠乏症の人は健康な人に比べて口内の温度が高くなってしまうので、それを冷やすために氷を食べたがるのではないか?とも言われています。


 たくさんの氷を食べるなんて確かに奇妙な症状だとは思いますが放置すると体に良くないことがあるのでしょうか?
 「氷食症」の人は高い確率で鉄欠乏症を起こしているので、放って置くと重症の貧血になる恐れがあります。ですから、氷を毎日食べたくなるなどの症状が出たら、早めに病院へ行って血液検査をするか、鉄分の錠剤をもらいましょう。1カ月くらい飲めば体内の鉄分が増え、「氷食症」も治まります。また、女性は生理が原因で鉄分不足になることがほとんどですが、男性で「氷食症」になっている人は、胃腸から出血して鉄欠乏症を起こしているケースも多いです。その場合、深刻な病気の可能性もあります。


2.脳神経外科領域で変わった
  名前の代表「もやもや病」
 「もやもや病」(moyamoya disease)は、脳底部に異常血管網がみられる脳血管障害で別名ウィリス動脈輪閉塞症と言われます。


 脳血管を造影した際に脳血管がもやもやしたように見えたので「もやもや病」と命名され、たちまち世界中に“moyamoya disease”として広まりました。2001年に厚生労働省が正式名称を「もやもや病」とし、シンガーソングライターの徳永英明さんがこの病気に罹患していたことがきっかけで、一般に広く知られるようになりました。発症の過程は、脳の動脈に狭いところができ、その領域の脳は血液不足になります。すると、その領域の脳は新しい血管網を作ろうとします。しかしこれらの血管は細いため、他の正常血管に比べ脳虚血または脳出血が起こりやすい状態となります。


 虚血の発作は過換気が原因で起ります。過換気状態になると血液中の二酸化炭素が低下し、血管が収縮します。元々細いもやもや血管はさらに収縮して失神や脱力発作が起こります。(典型的な過換気状態は、熱い蕎麦やラーメンなどを冷ます「吹き冷まし」行為や、啼泣、リコーダーやピアニカなどの吹奏楽器演奏時など、必要以上の呼吸を伴う動作で発生するため、注意を要します。)
 一方出血は、脳の血液需要に応じるための大量の血液を送る際に、もやもや血管が細いために破綻するものと考えられています。成人例に多く出血箇所が悪い場合、致命傷となります。


 発見から数十年が経っているにもかかわらず、未だ原因は断定されていません。一方、家族性発症も10〜15%あることが知られており、遺伝の関与が言われています。


 原因が不明である以上予防は不可能ですが、繰り返す頭痛や痙攣発作がある場合は「もやもや病」を疑い、MRIやMRA検査を受け、これらの検査で明らかになれば、脳血管造影は必ずしも行う必要はありません。治療として、外科的には脳血行再建術を行います。内科的には抗血小板療法を行い、虚血発作を予防します。


 今年もこのような難病にかからないよう健康に留意されることを祈念いたします。